結論:探される人材には、条件がある

以前の記事で、私の面接官が「私に白羽の矢を立てた工場長だった」という話を書きました。役員に近い立場の方が、人事に頼んでまで私を探し出した——。

今日はその裏側の話をします。約束していた伏線の回収です。

先に、この話から伝えたいことを言います。

向こうから探される人材になることは、狙ってできることではありません。でも、探されるだけの準備をしておくことはできます。そして準備をして行動した人だけが、そのタイミングに出会えます。

これは、実際に「探された」私の実話です。


大手が、外の技術者を探さなければならなかった事情

詳しくは書けないのですが、当時その会社は、ある事情から、ひとつの製品の生産体制を立て直す必要に迫られていました。生産ラインを一から立ち上げる。しかし、それを担える技術者が、社内に足りていなかったのです。

一方その頃、私が勤めていた前の会社は、自動車関連の設備を設計・生産するメーカーでした。

生産ラインを立ち上げたい会社と、生産設備の設計をやってきた技術者。

つまり、まさに私が前職でやっていた技術が、そのまま必要とされていたのです。そこで、その製品の主幹工場の工場長から、私に白羽の矢が立った——というわけです。


「言われてみれば、確かに」——気づいていなかったのは自分だけだった

白羽の矢が立ったと知ったときの気持ちは、正直に言うと「言われてみれば、確かにそうかも」でした。

私は、自分の会社の技術が——特に自分が携わっていた分野の技術者が——それほど求められているとは、認識していなかったのです。

自分の市場価値を一番分かっていないのは、自分自身。以前の記事でも書いたことですが、私自身がまさにそうでした。

そして、もうひとつ痛感したことがあります。

タイミングというのは、確かにある。でも、それは狙ってできる話ではありません。行動して初めて、そのタイミングに遭遇できる。あのとき私が転職活動を始めていなければ、エージェントに登録していなければ、この機会に恵まれることすらなかったのです。

チャンスは、動いている人のところにしか流れてきません。


半年後、その工場長から表彰された

入社したときから、工場長は私を意識していたようでした。期待されている。遠くから見守られている。入社したての頃は、そのプレッシャーも確かにありました。分からないことだらけで、苦労もしました。

そして入社して半年ほど経った頃。社内表彰があり、私はあの工場長から表彰されました。

がむしゃらにやったということもあります。でも、自分の専門性が少しは評価されたのかな、努力が報われたのかなという気持ちでしたね。

探されて入った人間が、探した本人から表彰される。これ以上の答え合わせはなかったと思います。


「探される人材」になる5つの条件

この経験を振り返って、読者のあなたに伝えたいことをまとめます。

1. 仕事の「位置づけ」を理解する

大きな枠組みの中で、自分がどのポジションの仕事をしているのか。お客様にどのような価値を与えているのか。この位置づけをしっかり理解している人は、外から見たときに「何ができる人か」が明確です。

2. ニッチでいい。専門技術を磨き抜く

中小企業で行っている仕事には、それなりの専門性があります。そして大企業になればなるほど、中小企業がやっている細かな専門的なことは、やることが難しくなっていきます。

ニッチで構いません。領域が狭くても構いません。その分野の第一人者を目指して知識と技術を蓄えていくことが、のちのち大きな資産になります。

3. あなたは「自分株式会社」の社長である

専門性はあなたの商品です。しっかりアピールして、良い取引ができるようにしたいですね。

4. 誠実さと、飽くなき探究心

ただし、前提があります。向こうから探される人材になるためには、誠実さと、技術に対する飽くなき探究心が必要です。

5. 人に対して、愛情を持って接する

意外に思うかもしれませんが、これが後々あなたの評価を上げるために大切なことになります。人への愛情は、物事を分かりやすく伝える能力を高めることにつながるからです。日々その努力を怠らないようにしていきましょう。


まとめ:チャンスは動いている人のところに来る

条件 内容
位置づけの理解 全体の中の自分の役割と顧客への価値を語れる
専門性 ニッチでいい。第一人者を目指して磨き抜く
社長意識 自分株式会社の商品を安売りしない
人間性 誠実さ・探究心・人への愛情
行動 動いた人だけがタイミングに出会える

私が探されたのは、運が良かったからではありません。前の会社で目の前の仕事に全力で取り組み、専門性を磨いていた。そして、転職活動という行動を起こした。その掛け算の先に、あの白羽の矢がありました。

あなたの技術を必要としている会社は、あなたが思っているより近くにあるかもしれません。


「探される側」になる第一歩は、市場に出てみること

私の場合、エージェントに登録して動き出したからこそ、探していた会社と出会えました。あなたの専門性を必要としている企業がどこにいるのか。それを知る一番の近道は、転職のプロに聞くことです。

登録も相談も無料。まず、あなたという商品を市場に並べてみてください。

Strategy Career

動き出すことで、見える景色は必ず変わる。