結論:情と、あなたの人生は、別の問題だ

転職したい。でも、お世話になった上司や仲間のことを考えると、踏み切れない。

そんな罪悪感で立ち止まっていませんか?

先に、私の答えをお伝えします。

会社への情と、あなたの人生の選択は、別の問題です。そして、辞めたあとに分かったのですが、あなたが思っているほど、会社とあなたの縁は切れません。

偉そうに言っていますが、実は私は、世間的に見れば「通常ありえない」と言われるような状況で会社を辞めました。今日はその話をします。


仲人を頼んだ上司がいる会社を、辞めるということ

私が転職を決意したのは、結婚した直後でした。

ここで、私には人一倍辞めづらい事情がありました。妻の家族から「仲人を立ててほしい」と頼まれ、私は会社の上司に仲人をお願いしていたのです。

結婚式で仲人を務めてもらった、その直後に退職を切り出す。

当時の上司には「通常ありえないよね」という厳しい言葉も言われた記憶があります。本来なら、開いた口がふさがらない、というところでしょうか。

直属の上司は理解を示してくれましたが、さらに上の上司はなかなか理解が難しかったのかもしれません。かなり心苦しかった思い出があります。

それでも、私は辞めました。

なぜそこまでして辞められたのか。順を追って話します。


踏ん切りがついたのは、上司の「誠実な一言」だった

以前の記事でも触れましたが、私は辞意を伝える前、直属の上司に給与の不満を相談したことがあります。

返ってきた答えはこうでした。

「給料の話であれば、それだけはなんともできない」

これは私の部署の上長であっても同じでした。給料は会社側が決める話なので、当時のマネージャークラスでも、どうにもできなかったのだと思います。

つまり、こういうことです。

この会社にいる限り、生活の質は変えられない。それが、誰のせいでもなく、構造的に決まっている。

普通なら絶望する場面かもしれません。でも私は逆に、この言葉で踏ん切りがつきました。社内に答えがないと分かったのだから、答えは外に探しに行くしかない。迷いの原因だった「もしかしたら社内でなんとかなるかも」という期待が、きれいに消えたのです。

ごまかしたり、できない約束でつなぎとめたりせず、正直に「できない」と言ってくれた当時の直属の上司は、とても誠実な方だったと思います。今でも尊敬しています。

そして最後に背中を押してくれたのは、やはり妻の言葉でした。将来への危機感を一緒に抱えて、一緒に決断してくれた。情に流されなかったのは、私一人の強さではありません。


辞めたあと、元の会社との関係はどうなったか

「辞めたら裏切り者扱いされるのでは」と怖れている人へ。実際のところをお話しします。

何も起きませんでした。

気まずさを引きずるようなことは特になく、むしろ驚いたのはその後です。

私のあとに続いて、何人かが同じように会社を辞めたと聞きました。そして数年後——私が入社したときに新入社員教育を担当してくださった方が、なんと私と同じ会社に転職してこられたのです。これには本当に驚きました。

あなたの決断を「ありえない」と言った人たちも、時間が経てば、それぞれ自分の人生を自分で選んでいきます。会社を辞めることは、人間関係の終わりではありません。むしろ、先に道を示すことにさえなる。私の場合は、結果的にそうなりました。


まとめ:情に悩むあなたへ

悩み 私の実体験からの答え
お世話になった人に申し訳ない 情と人生の選択は別の問題
引き止められたら揺らぎそう 「給与は変えられない」が正直な答えだった
裏切り者と思われそう 何も起きない。続いて辞める人さえいた
一人では決断できない 家族と一緒に決断すればいい

お世話になった会社だからこそ、中途半端な気持ちで居続けるほうが不誠実だと私は思います。あなたが全力で働ける場所で全力を出すこと。それが、育ててくれた人たちへの一番の恩返しではないでしょうか。


情より大切なもの。あなたがどんな人生を描きたいか

最後に、「お世話になったから辞められない」と悩んでいるあなたへ。

日本的な考えを押し通すのであれば、確かに義理や場を大切にする気持ちは尊いものです。とはいえ、時代は少しずつ変わってきています。人生は、自分で切り開かなければなりません。

情だけに流されてはいけない。あなたがどんな人生を描きたいか。そこがすべてです。

欧米では、キャリアアップのための転職は当たり前です。転職するごとにステップアップしていくのがスタンダードになっています。もし今の場所が自分に合わないと感じているのなら、それは新しい職場へ乗り換えるチャンスだと捉えていい。

ただし、ひとつだけ約束してください。

前の会社に悪い後味を残さないように、最後まできちんと仕事に向き合い、しっかりやり切って、気持ちよく退職すること。

なぜなら、あなたは常に、前の職場での行動が評価されているからです。

新しい会社の人たちが知りたいのは、あなたがどんな会社で働いていたかではありません。過去にあなたがどんな行動をしてきたか。そこが見られているのです。

どこにいたかではなく、どう働いてきたか。それがあなたという商品の、本当の価値になります。

ちなみに——仲人をお願いしたあの上司とのその後についても、いつか書ける日が来るかもしれません。


迷っているなら、まず「外の答え」を見てみる

私が決断できたのは、社内に答えがないと分かったからでした。あなたの会社はどうでしょうか。

それを確かめる一番簡単な方法は、外の市場であなたがどう評価されるかを知ることです。登録も相談も無料。辞めると決める前に、まず情報だけ集めてみてください。

Strategy Career

動き出すことで、見える景色は必ず変わる。